住宅総合研究財団研究年報
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住宅の空間構成手法と室内環境形成との関連性に関する研究(2)
高橋 公子内田 茂小峯 裕己宿谷 昌則平手 小太郎田辺 新一岩畔 久美子大井 尚行
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1989 年 15 巻 p. 305-315

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抄録

 本研究は,1984年度の研究助成による「住宅空間構成手法と室内環境形成との関連性に関する研究」の継続研究であり,今回の研究ではトップライトを対象として実物大模型を用いた心理実験や,居住状態の住居における実測等により,定量的な設計資料を作成するための基礎データの整備を目的とする。 まず,日除けのあるトップライトの光・熱性能に関して,夏期,トップライトから室内に侵入する日射・昼光が室内環境に及ばす影響を実測により検討した。日除けとしてサンスクリーンを屋外,室内に設置し,トップライトが昼光および日射熱に対してどのような効果を持つかを昼光照度の日射量に対する比,すなわち発光効率を指標とした評価を試みた。結果として,①サンスクリーンを内付けにするよりは,外付けにする方が日射熱遮蔽の観点からみて効果がある。②トップライトの発光効率からみるとサンスクリーン外付けの効率は,白熱灯の効率の20倍である-等が得られた。次に,実物大模型空間を用いた被験者実験により,トップライトの面積および開ロパターン,トップライトの面積と室の天井高などの要因とトップライトを持つ空間がもたらす心理的効果との関連を調べた。その結果,①開口面積の大きいものは,価値が高いと評価された。室内の明るさ感や心地よさは必ずしも開口面積に比例せず,開口面積が小さくても開口位置が分散したものは評価が高い。②トップライト面の梁の有無は室内視環境の評価には大きな影響を与えていない。③トッブライトを有する室内の用途により期待される雰囲気が異なるため,心理的効果が大きいトップライトの開口面積・位置・パターンは限定できなかった-等が得られた。

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© 1989 一般財団法人 住総研
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