住宅総合研究財団研究年報
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中国雲南省西双版納ダイ族の住空間構造の変容と継承
富樫 穎上田 博之米原 慶子竹原 義二篠原 亨山崎 寿一
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1998 年 24 巻 p. 77-86

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抄録

 本研究では,第1に,ダイ族住居の伝統的な住空間構造を明らかにし,第2に,近代化・漢族化されたダイ族住居で,伝統的住空間構造がどのように変容,ないし,継承されているかを明らかにしようとした。その結果,以下の知見を得た。(1)ダイ族の伝統的住空間構造は,ウチ・ソト,カミテ・シモテの2つの空間概念によって説明される。(2)伝統的住居には,敷地の外から寝室内に至るまでの4段階のウチ・ソト領域構成が存在する。(3)伝統的住居には,カミテ・シモテの空間軸が直交して2つ存在する。第1の空間軸の最も力ミテ,第2の空間軸の最もカミテに,家の神(ティウラ・ヘン)が祀られ,ここが住居内の最上位空間になっている。(4)近代化・漢族化が進んだ集落でも,家の神を祀ることは継承されている。(5)近代化・漢族化が進んだ集落でも,大多数の住戸に伝統的住空間構造が継承されている。しかし,伝統的住空間構造が崩れた事例や,伝統的住空間構造が完全に消滅した事例も散見される。

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© 1998 一般財団法人 住総研
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