住宅総合研究財団研究年報
Online ISSN : 2423-9879
Print ISSN : 0916-1864
ISSN-L : 0916-1864
公的住宅建替えに際し住民の個人的記憶を計画に生かす手法の研究
住民の記憶の索引を収集する計画手法の検討
荒川 千恵子三沢 浩新井 啓一三浦 史郎渡辺 政利新井 英明
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2000 年 26 巻 p. 203-214

詳細
抄録

 本研究は公的集合住宅の建替時に,居住環境の連続性を確保するため,居住者から各人の「エピソード記憶」を聴き,建替計画に生かす手法の提案である。ふるさとに等しい住み慣れた団地に,彼らが喜んで戻れる計画手法がないからである。そこで4団地を対象に調査を行ない,「生活用語」を手掛かりにして記憶を引き出し,かつ自由記述で暮らしの状況をみた。加えて住まいの「空間用語」を使い,空間の良し悪しを聴いた。結果として,今までの計画では普遍性がないとして排除された個人の記憶を,建替時に活用し得ることが分かってきた。この手法は馴染みある団地の再建が期待でき,かつ居住者に計画への参加を広げる可能性も持っている。

著者関連情報
© 2000 一般財団法人 住総研
前の記事 次の記事
feedback
Top