2001 年 27 巻 p. 135-146
本研究では同潤会鴬谷アパートを対象とし,建設当時における計画技術を多角的視点から検証し,集合住宅計画史の中で位置付けると共に,そこで長く営まれた居住に関わる現象を,自治会という集合住宅全体としての視点からと,個々の居住者の生活史という視点から検証することより,長期居住された集合住宅の多角的評価を試みるものである。建築計画・都市計画・構法計画からは,当アパートを同潤会アパートの計画技術史上の中期と位置づけた。また,住環境の維持・運営の分析の結果,再開発決議まで住環境の維持組織としての自治会が充分に機能していたことが判った。