2002 年 28 巻 p. 251-262
東京の既成市街地ではミニ戸建て住宅の建設が活発化している。本研究ではその概況を把握した後,典型区と言える世田谷区と足立区を対象に詳細な分析を行った。次いで購入者と販売業者への調査からその実態を検討し,地価の下降を背景にして需給市場が形成されていることを示した。さらにこれら開発がいわゆる欠陥住宅問題や市街地環境にかかわる問題を生んでいることを具体的に示すとともに,問題回避のための種々の方法がどのような効果と限界を有しているかを論じた。終わりに,法的対応とともに,問題解決の意志を持つ市民を支援する専門家や専門家組織の存在が重要であることを指摘した。