住宅総合研究財団研究年報
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28 巻
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  • 18世紀建仁寺境内を事例として
    日向 進, 矢ヶ崎 善太郎, 小出 祐子
    2002 年 28 巻 p. 59-70
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
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     本研究は,近世京都における都市の拡大を象徴する「新地」開発の意義について,領主による土地経営という視点に立脚し,具体的事例をもって論考するものである。事例としてとりあげた京都建仁寺では,18世紀初頭,伽藍の法堂再建という大事業に着手した。しかし幕府の緊縮財政下にあって再建資金の調達は難航する。そうしたなかで,年貢徴収権を温存させた同寺境内に残る耕地の開発が,寺領収入の増加につながる手段として重要視されていく。建仁寺が境内全域を18世紀初頭よりわずか半世紀の間に新地として開発するに至った背景には,このように逼塞した寺内の財政状況と,新地開発行為の生み出す利潤に対する認識のあったことが確認できた。
  • 大沼 正寛, 石川 慎治, 千葉 周秋, 菊地 良覺
    2002 年 28 巻 p. 71-82
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
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     本研究の目的は,新宿区大久保地区における外国人居住の状況に関して,1990年から2000年にかけての10年間の変化を把握することである。調査の結果,外国人の住宅が老朽木賃アパートから賃貸マンションへ移行し,入居者属性が若年単身から就労単身・夫婦・フアミリー世帯など多様化したこと,不動産業者の対応が入居拒否から歓迎に一変し,賃貸マンション家主の多くが外国人を受け入れ柔軟に対応していることなど,大きな変化が明らかになった。一方分譲マンション転貸物件では依然として外国人によるトラブルが存在した。将来,マンション管理のあり方が,外国人との共住に対する意見や評価に関わる可能性がある。
  • 大久保地区の10年間の変容と新たな課題
    稲葉 佳子, 笠原 秀樹, 河上 牧子, 小菅 寿美子, シブラ=プュセル ドロテー, 朴 賢珠, 李 承珉
    2002 年 28 巻 p. 83-94
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
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     本研究の目的は,新宿区大久保地区における外国人居住の状況に関して,1990年から2000年にかけての10年間の変化を把握することである。調査の結果,外国人の住宅が老朽木賃アパートから賃貸マンションへ移行し,入居者属性が若年単身から就労単身・夫婦・フアミリー世帯など多様化したこと,不動産業者の対応が入居拒否から歓迎に一変し,賃貸マンション家主の多くが外国人を受け入れ柔軟に対応していることなど,大きな変化が明らかになった。一方分譲マンション転貸物件では依然として外国人によるトラブルが存在した。将来,マンション管理のあり方が,外国人との共住に対する意見や評価に関わる可能性がある。
  • 計画・運営モデルの提案に向けて
    小谷部 育子, 石東 直子, 櫻井 典子, 定行 まり子, 薬袋 奈美子, 山本 典子, 渡辺 喜代美
    2002 年 28 巻 p. 95-106
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
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     本研究は,国内外のコレクティブ居住の先行事例における計画・建設・運営のプロセスを分析・評価し,日本におけるパートナーシップ型多世代コレクティブ住宅の計画・運営モデルの提案を目的とする。事例調査からは社会的環境や事業主体によって,またコレクティブ人の存在,コレクティブ住宅としての装備,計画過程や住運営における居住者参加の度合いによって居住者主導型,移行型ともに多様なコレクティプ居住が存在することがわかった。コレクティプ居住は公共,民間を問わず従来の住宅供給や管理運営方式の対応ではそぐわない住環境形成であり,特にわが団では,ヒト/モノ/システムそれぞれの育成,開発,支援をし,社会的環境整備と実現に力を発揮するNPOの成長が期待される。
  • 林 知子, 荻原 正三, 黒石 いずみ, 長山 洋子, 前島 諒子
    2002 年 28 巻 p. 107-118
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
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     今和次郎が参加した1934~41年(昭和9~16)の農林省積雪地方農村経済調査所による積雪地方農家家屋調査と(財)同潤会による東北地方農山漁村住宅改善調査は,戦前における農村の生活・住宅改善を目的とした画期的な調査研究であった。そのような研究がなぜ,どのような組織で行われたのか。大正期から農村研究に打ち込み,数々の業績を残してきた今がこの調査において果たした役割と成果について検証した。今の85年に及ぶ生涯は,日本の近代化に始まり二度に亘る世界大戦を経た激動の時代の中で,常に人間と人間の生活のあり方に焦点を当てながら実践をもってすすめたものだった。この調査の成果は戦後の農村における生活改善運動の基礎となったといえる。
  • 近世と近代の比較を中心に
    平山 育男, 御船 達雄, 藤川 昌樹
    2002 年 28 巻 p. 119-130
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
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     本研究は和歌山県橋本市の橋本・古佐田・東家地区を調査対象とし,町家の復原調査と都市構造調査,都市関連の文献調査をもとにして,町家と町並みの変遷について復原的に考察するものである。当地区は近世・近代に交通の要衝となり繁栄したが,残念ながら再開発を目的に土地区画整理事業による建物の解体が続く。復原調査では取り壊しの際に解体を伴う調査をおこない,精度の高い資料を作成した。編年指標は屋根茸材,軒高,二階座敷の有無が特に有効で,これをもとに町家の変遷を考察した。史料調査からは,両側町から塊状の町への変化と,近代での古佐田地区の都市化が判明した。近畿圏の在郷町としての特質とその変遷過程の把握を試みた。
  • 谷 直樹, 中嶋 節子, 植松 清志
    2002 年 28 巻 p. 131-142
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
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     本研究は,近世大坂における蔵屋敷の住居史的な解明を目的としたものである。すわなわち,その建築構成,施設の機能空間構成の特質等を明らかにし,さらに都市大坂との関わりを蔵屋敷の年中行事を通して考察した。大坂蔵屋敷関係の資料は各所に分散しているので,まず資料の所在確認を行い,約16藩の蔵屋敷関係の資料を収集する事ができた。主に指図を分析した結果,東国と西国,大藩と小藩等で施設の構成等に差異がある事を明らかにした。また蔵屋敷内には本国の代表的な社が勧請されており,その祭礼は「蔵屋敷祭礼」として大坂の年中行事に掲げられている。蔵屋敷は経済的な機能だけでなく,大阪の都市文化を考える上でも重要な施設であった事を指摘した。
  • 介助動作時に必要な手すり配置について
    小滝 一正, 高橋 正明, 関屋 昇, 佐藤 満, 中村 大介
    2002 年 28 巻 p. 143-154
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は,一般的な住宅内便所での移乗介助動作時に必要となる手すり配置を明らかにすることを目的に,移乗介助動作時の手すりの有効性,入口方向の違いによる手すりの配置位置,介助手技による手すり配置を明らかにする実験,使用瀕度の高い手すりの配置位置を絞り込む実験,さらに実際の高齢者を被験者とした検証的実験の3つの実験から構成されている。結果,出入ロタイプに限らず,出入口付近に縦手すり,便器横壁に縦・横手すりの設置が有効であること,介助手技の違いは手すり配置に影響しないこと,側方入口タイプの出入口内壁に縦手すり設置は介助動作の誘導,適した介助空間に有効であることなどが明らかになった。
  • パーキンソン病の各類系別事例から
    池田 誠, 田口 孝行
    2002 年 28 巻 p. 155-164
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
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     代表的な進行性神経難病の1つであるパーキンソン病者の住まいが①パーキンソン病症状に対応しうる住まいでない,②進行に対応した住宅改造が行われていない,③住まいに対する満足度が低い。この仮説を立証するために(1)現在住んでいる住まいの実態調査,(2)住まいの満足度,(3)運動機能障害の程度をパーキンソン病の重症度ごとに調査・評価した。その結果,運動機能障害が低下しているにも関わらず住宅改造が行われず,住まいに対する満足度も低かった。特に便所や浴室の満足度が低かった。今後,病状の悪化に伴う移動確保と転倒防止のために重症度に対応し,かつ進行を想定した住宅改造の進め方の確立が課題として明らかとなった。
  • 住宅手当制度とその他の諸制度との連携をみる
    大家 亮子, アウリン ナターシャ, 佐谷 和江, 山重 芳子
    2002 年 28 巻 p. 167-177
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は、フランスの『住』を取り巻く経済的な生活支援制度の枠組みに関する研究である。従来、住宅政策の領域から住宅手当の研究はされているが、本研究の特徴は、社会保障制度の家族給付制度の枠組みに注目し『住』関連施策として住宅手当制度APL、ALS、ALFと「不安定化に対する給付」参入最低所得RMIを取り上げその動向を考察したことにある。考察からは住宅手当制度の縫合化政策『ブックラージュ』(bouclage)の進展が見られ、また住宅手当制度と参入最低所得制度RMの間で整合性の確保などが今後の課題と受けとめられる。
  • 横須賀製鉄所を中心として
    倉方 俊輔, 八角 太啓, 小林 哲郎
    2002 年 28 巻 p. 179-190
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は,横須賀製鉄所の建設にあたった堤磯右衛門の手記や写真資料の検討を通して,慶応年間(1865-68)の外国人技師住宅の形態と建設過程を明らかにし,幕末期における建築仕様書の変容を報告したものである。横須賀製鉄所に当初建てられた6種類10棟の外国人技師住宅は,バンガロー式住宅を基本としており,いずれも洋小屋組を有していた。設計は外国人技師によって行われ,幕府役人の監理の下,手間請負で施工きれた。建築仕様書においては洋小屋組が日本語で規定されており,新たな技法が在来の建築生産システムに咀嚼される過程を示している。
  • 田上 健一, 上江田 常実, 鈴木 雅明, 本村 政敏, 新城 敦子, 本庄 正之
    2002 年 28 巻 p. 191-202
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     1950年代後半から1960年代にかけて,沖縄では基地の拡大に伴い外人住宅と呼ばれる米軍基地外の米軍軍人軍属用の民間賃貸の米式住宅が大量に建設された。しかし,本土復帰以降は基地縮小や基地内住居施設の拡充によって基地外の米式住宅の需要は激減し,その結果,住み手は地域住民へと変化した。本研究ではこのような米式住宅を対象として,地域への移行の過程に着目し,その成立と展開の歴史的経緯,非住居機能への転用,増改築を中心とする住宅再生,また居住者評価の諸相を明らかにした。
  • その構造と機能
    渡辺 民代, 塩崎 賢明, 平山 洋介
    2002 年 28 巻 p. 203-214
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究はコミュニテイ・デザイン・センターの活動内容,組織構造,組織運営のシステム,財政を明らかにし,日本におけるコミュニテイ・デザイン・センターの成立の可能性について考察することを目的としている。コミュニテイ・デザイン・センターの3つの組織形態である,大学ベース型(1件),非営利型(4件),ボランティア型(2件)を調査した結果,アメリカでコミュニテイ・デザイン・センターが成立している条件は,パートナーシップによる地域再生,まちづくり非常利組織の発達,財団・インターミディアリーなどの民間セクターの発達、大学と地域コミュニティとのパートナーシップ、専門家の職能意識などであることが明らかになった。
  • 愛媛県大洲・八幡浜モデルの構築
    藤原 三夫, 垂水 亜紀, 松本 美香, 牧野 耕輔
    2002 年 28 巻 p. 215-226
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     農山村での人口定住が現代の極めて重要な課題であり,それを促進するための具体的な方策が求められている。本研究では,多自然居住地域の考え方を基本においた回流型住宅供給システムを構想し,その成立可能性について,愛媛県西予広域市町村圏を対象に,基碇的な検討を行った。その結果,ライフサイクルの中でも流動性をもった30から40歳代において,農山村居住志向と適応力がみられるとともに,居住により満足度が高まっていることが明らかになった。しかし,彼らを受け入れる農山村側の対応は遅れており,不動産を評価し仲介する第三者機関の設置と,農山村居住者に対して安心感を与える情報・交流機能の創出を提案した。
  • 岩下 剛, 黒木 荘一郎, 鳥居 修一, 甲斐 敬美
    2002 年 28 巻 p. 227-238
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は,木造住宅から発生する物質の環境へのインパクト評価手法の構築を目的として,ライフサイクル評価,居住環境実測,被験者実験による快適性評価を行った。木造住宅から発生する物質の環境影響については,LCAソフトウェアを用いて,マクロな視点での分析・評価法を調査した。木造住宅から発生する化学物質の実態は,内装材に無垢の杉が使用されている木造住宅,通常の壁紙が使われている在来軸組木造住宅で実測を通して調査した。これにより,木質系建材から放たれる天然由来の化学物質の発生が長期にわたって顆著であることがわかった。また,天然由来の化学物質の臭気が,人間の知覚空気質に及ぼす影響を被験者実験により調査した。
  • 大阪東部における中層木造戸建住宅に着目して
    森本 信明, 澤井 敬昌, 前田 享宏, 新田 俊明, 村松 敏雄, 立神 靖久, 中島 葉子, 前田 康二, 永井 貢
    2002 年 28 巻 p. 239-250
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     大都市圏の郊外部だけでなく,都心近傍ならびにその周辺部においても,根強い戸建持家需要があることが明らかとなってきている。中層化の傾向を強めつつある都市型戸建住宅をとりまく環境は,ここ数年で急激に変化している。建築基準法の改正による中間検査の導入や,品質確保法による住宅性能表示,さらには開発指導要綱の変化などがそれである。本研究では東大阪市と八尾市を対象とし,変化の渦中にある最近の戸建住宅の供給実態を分析したものである。その結果,都市型戸建住宅供給において地場の業者が重要な役割を演じていることが明らかになり,業者インタビュー調査,個別プロジェクト調査の結果をふまえ,行政と事業者との連携をもとにした「まちなみ誘導方策」についての試論を提示した。
  • 東京の既成市街地を対象に
    高見澤 邦郎, 小俣 忠義, 須永 和久, 大江 新, 山口 邦雄, 日置 雅晴, 野村 徹也
    2002 年 28 巻 p. 251-262
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
     東京の既成市街地ではミニ戸建て住宅の建設が活発化している。本研究ではその概況を把握した後,典型区と言える世田谷区と足立区を対象に詳細な分析を行った。次いで購入者と販売業者への調査からその実態を検討し,地価の下降を背景にして需給市場が形成されていることを示した。さらにこれら開発がいわゆる欠陥住宅問題や市街地環境にかかわる問題を生んでいることを具体的に示すとともに,問題回避のための種々の方法がどのような効果と限界を有しているかを論じた。終わりに,法的対応とともに,問題解決の意志を持つ市民を支援する専門家や専門家組織の存在が重要であることを指摘した。
  • 梶浦 恒男
    2002 年 28 巻 p. 3-20
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 丸山 英氣
    2002 年 28 巻 p. 21-27
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 小林 秀樹
    2002 年 28 巻 p. 29-41
    発行日: 2002年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
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