2005 年 31 巻 p. 229-240
日本では路上生活にある女性は3%と先進諸外国と比べて少ない。「ホームレス女性」は「隠れたホームレス」であり居住の危機が屋根の下に隠れ,問題も埋もれてきた。本研究では,①日本における居住の危機にある女性の存在と支援策におけるジェンダー的特質,②公共・民間による中間施設の実態,③女性専用の宿泊所の利用者調査による中間居住施設の評価,④中間居住施設を退所した女性の安定居住の条件を,東京都において明らかにしている。並行して「ホームレス」女性の居住支援の実績をもち,先進国の事例としてカナダ・トロント市における「ホームレス」女性支援を分析し,これらを含めて日本(東京)における「ホームレス」女性への居住支援の課題を示した。