2006 年 32 巻 p. 45-56
本研究の目的は,EUにおいて包括的・統合的な都市再生手法が形成された背景を,アーバンパイロット事業1期(UPPI)の事例研究から明らかにすることである。さらに,都市再生の持続可能性を向上させる要因について分析し,日本型の街なか居住環境整備への示唆をえた。その結果,①UPPIは,柔軟な枠組みの中で多様な取り組みヶ実験的に行われたため包括的,統合的な再生手法が形成された。②持続可能性を高める要因として,社会経済的な事業を統合的に行うこと,初期段階から多様な主体と連携し協同で運営すること,自立した運営を見据えて助成期間中にマネジメントのできる人材を育成しノウハウを蓄積することが重要であることがわかった。