抄録
本研究は,メトロマニラ貧困地域4地区を対象としてフィールドワークを行い,住居及び居住形態の実態調査を通して,社会構造の変容を捉えることにある。調査結果から,居住者の構成,狭小な生活空間への対応,帰属意識の変容などを読み取り,住民同士あるいは住民とのコミュニティの新たな関係性を生みだす空間特性を把握した。親族関係については,拡大家族や儀礼親族の重要性はいまだ認められる。その一方で核家族を中心とした家族構成を基本としながらも,生活機能をコミュニティに依存せざるを得ない生活実態から,フィリピン都市型ともいうべき新しい社会構造の萌芽的現象を読み取ることができる。