抄録
本研究の目的は,日伊比較調査により,高齢者自らの生活に「活き活きとした人生」,ウェル・ビーイングを送りうる居場所づくりの成立基盤と実践的方向性を明らかにすることにある。イタリアでは単独安心性と相互楽遊性の両方が生かされる居場所で,高齢者自らがお互いに楽しみながら生き方を高める志でつながる「志縁」型の取組みが進んでいる。日本は,伝統的な「地縁」型の地域組織があるが,居場所づくりには「志縁」との統合的バランスが大切である。地域の空間的資源と人的資源を生かし,自己とまわりとの開かれたコミュニケーション,笑い,ユーモアなど高齢者の身体の社会的資源性の潜在性を生かすことが高齢者の居場所づくりとなる。