2007 年 33 巻 p. 311-322
本研究は,増加傾向にある耕作放棄地,施業放棄林,空き家を農山村遊休不動産と定義し,農山村への移住希望者と農山村住民間で適切な不動産需給調整が行われるための市場(仲介機能)の構築可能性を検討した。まず農山村不動産需要者である移住希望者と供給者の地元住民,更に既UIターン者への意向調査から,需給意向と需給構造を明らかにした。また不動産仲介組織の事例調査から,組織形態毎に現状と課題を分析した。その結果,多くの需給ギャップが見いだされ,農山村不動産市場構築には,都市住民に開かれ,かつ地元住民の信頼の元で地域情報と不動産活用に関する制度を確実に把握したうえで仲介機能を果たせる新たな組織の必要性を指摘した。