2008 年 34 巻 p. 113-124
和歌山県御坊市営島団地は,住民参加の手法で建設された集合住宅団地であり,一般的な集合住宅団地では実現できない南廊下型立体路地を大々的に取り入れた事により,学会で高く評価されている。本研究は,島団地の立体路地の居住者による使われ方,評価を調査することにより,南廊下型立体路地のもつ意味と,問題点を明らかにした。調査の結果,立体路地では,地面以上にさまざまなモノが溢れ,地面と同様あるいはそれ以上に居住者の行動が表出しており,居住者が接地性が高いと感じる事の出来る集合住宅となっていた。一方で,トラブルはないものの自分の領域が守られていないと感じる居住者もいる事が明らかとなった。