2008 年 34 巻 p. 149-160
本研究の目的は,個人事業主による小規模コレクティブ住宅が,既成住宅市街地に立地する集合住宅として大きな可能性を持つことを明らかにすることである。神戸市・大阪市・徳島市の3事例を対象として,ヒアリング調査,アンケート調査,観察記録調査を実施し,建設動機・計画プロセス・運営の実態,居住者の入居理由や評価,コモンスペースの使われ方を探った。以上の調査結果から小規模コレクティブ住宅が多様な住まい方を許容し,住宅市街地の持続性に寄与することが分かった。その一方で,安定した質の確保と潜在的な入居希望者に対する広報に課題があることも明らかになった。