2008 年 34 巻 p. 161-172
本研究は,京マチヤが生成される過程として原形と変容をあつかい,京マチヤが他地域につたわる過程として伝播をあつかった。この三者をあつかう際,建物先行型論と棟持柱租形論という研究蓄積をふまえた。その上で,原形と変容をあつかう際,建築コラージュという観点をあらたに導入し,伝播をあつかう際,建物条件付き都市という観点を導入した。建築遺構と考古学的発掘という従来の資料を基確としつつ,以上のあたらしい観点にもとづいて,京マチヤを再検討し,以下の仮説をえた。京マチヤは市立ての最小単位であり,その地方への伝播は都市形成の最初期に特定の都市域に対する建物条件として京マチヤが採用されたことによる。