2008 年 34 巻 p. 267-278
対象とした法末集落は,中山間地という地理的条件に,豪雪が加わり,さらに2004年,2007年に震災に遭った。高齢化率が66.4%,集落の担い手不足は深刻で,約20年前から各種対策を講じている。震災復興に際し我々は,建築や景観資源が豊かであることに着目し,それらを学術的に位置づけ,発信する方法を検討した。その結果,法末の民家は江戸末期から明治期までのものが大半を占め,積雪のための補強や,冬季の採光の確保,降雪・積雪時の出入りへの配慮など,雪に対する知恵が集積していた。また試みた魅力の視覚化は映像資料や模型等で行い,遠方の第三者が評価することで集落の人々は自身の持つ魅力を捉え直す機会となり,集落内側に効果があった。