2009 年 35 巻 p. 37-48
この研究は,密集住宅市街地にみられた路地のもつ意義を「路地性」と位置づけ,阪神・淡路大震災以前に路地空間で,震災後,道路整備と住宅が再建された事例を対象とし,戸建住宅の内外の接する境界領域と,前面道路・通路側の敷地内オープンスペース,敷際空間,前面道路・通路からなる外部住空間を設定し,現在の生活領域化の実態と,震災前の路地から整備後の変化とその要因について明らかにし,今日的な意味での〈路地性の継承〉につながる居住者意識や行為の傾向を把握するものである。その結果,路地性を規定する空間的要因が変化することで,領域の複合性,機能の多様性が減じる傾向と同時に表出や管理行為に関する継続意識も確認された。