2009 年 35 巻 p. 25-36
本研究は,住宅営団大阪支所によって開発された住宅団地の特定を行い,個別団地の形成過程と物的環境の変遷,および住環境の成熟状況を明らかにしたものである。営団大阪支所の開発した105ヵ所の団地のうち,従来その所在地が確認されているのは27ヵ所であったが,今回,これに加えて新たに28ヵ所の所在が確認できた。また,大阪支所開発の住宅団地のうち,尼崎市冨田住宅についてその開発経緯と今日に至るまでの成熟過程を追跡することができた。冨田住宅で当初開発された87戸のうち36戸は現在まで継続して居住しており,敷地分割も少なく,独特の住宅地の所有権保持の仕組みを通じて冨田住宅の住環境を安定的に保全してきたことが明らかとなった。