2009 年 35 巻 p. 251-261
本研究は,食環境の改善に本格的に取り組むグループホーム型居住施設の有効性を,入居者の発達的視点から検証することを目的とするものであり,筆者らが実践的に共同研究を行う複数施設(とくに熊本と高知の2施設)において,「施設記録・日誌等の分析」「生活行動観察調査」「職員に対するアンケート調査」を実施し,熊本では調理実施ユニットと非実施ユニットの比較検討,高知では入居後半年間の変化を主たる分析課題とした。入居後2年半を経る熊本では,多くの発達的事実と調理を実施するユニットの優位性を確認した。入居後半年の高知では,それらの事実が相対的に少ないとはいえ,発達的変化の兆しが現れていることを確認した。