2009 年 35 巻 p. 263-274
小規模な敷地が多い高密度な都市型住宅地における前面空地は,上空面とならんで,都市居住やまちなみ形成という面からみて重要な空間である。この前面空地の現実の土地利用を観察すると,地域によっては違法あるいは違法すれすれの土地利用が多く見受けられるところがある。本研究においては,旧建築線がなお生きている大阪市の船場と東大阪市,ならびに都市型戸建ての新しい住宅地供給がみられる八尾市をとりあげ,違法・グレイな土地利用の実態を明らかにするとともに,そのような土地利用がなぜ地域において許容されているのかを分析し,現状では違法となる制度的枠組みの再検討を迫っている。