2010 年 36 巻 p. 189-200
公営住宅標準設計51Cは,日本の住宅計画史上におけるダイニングキッチン成立の契機として位置づけられ,さらに昨今ではnLDK蔓延の起源であるかのように語られることもある。ただし,51Cが実際にどう建設され,どのような住まいを実現させたのかについてはあまり知られていない。この研究は,福岡県内に現存する51Cを発掘し,実測調査によってそれらの記録を作成し,これに資料分析を加えて地方都市圏における51Cの展開を明らかにすることによって,51Cの実像への接近を試みたものである。