2010 年 36 巻 p. 201-212
本研究は,書院造の三要素である,床の間,付書院,違棚と中国古典様式家具との関連性を検証し,書院造の室内意匠の成立に起因する中国家具文化の受容と変容を探ることを目的としている。まず関連文献史料の収集,分析そして,中国寺院建築や伝統的民居,園林建築の室内意匠の実地調査を行い検証した。その結果日本では,留学僧(渡海僧)などによる文物交流により,請来された中国古典様式家具文化は家具として定着せず,独自の展開がみられ,建築の室内構成要素として日本的な家具文化を形成したものであることを明らかにすることができた。