住宅総合研究財団研究論文集
Online ISSN : 2423-9887
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源氏物語の住文化とその受容史に関する研究
理想の住空間としての建築・しつらい・作庭
森田 直美赤澤 真理伊永 陽子
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 37 巻 p. 297-308

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抄録

本研究は,『源氏物語』の舞台となった寝殿造の空間が,中近世を通してどのように理解されたか,中近世における『源氏物語』の住宅考証史を通して明らかにする。15世紀『花鳥余情』は, 同時代の住空間を背景に,文献上で寝殿造の復原を試みる。15世紀『源氏物語人々居所』及び17世紀『十帖源氏』は,六条院の作図を試みるが,寝殿と対からなる構成を描出できていない。しかし,そこには当時の人々の『源氏物語』の庭と庭を舞台とした遊興への関心を見出すことができる。その後,18世紀後半松岡行義著『源語図抄』『源氏類聚抄』は,裏松固禅『大内裏図考証』『院宮及私第図』を典拠とし,寝殿造像を視覚的に表現することが可能となった。

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© 2011 一般財団法人 住総研
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