2013 年 39 巻 p. 177-188
本研究は,祝島集落を中心とする瀬戸内の島嶼集落を対象に,集落の持続性の仕組みに係る考察を行い,次の結果を得た。島嶼集落には,(1)相互扶助的な要素が多く,共助・共同社会の意識が強く根付く。(2)地形や風等の厳しい自然環境から,家・通り・まち等をつくり,守る工夫の存在。(3)自然環境を基礎に,家・通り・まち等の空間構成に及ぼす,集落の生活・社会構成要素の存在。(4)限られた土地等の条件の下,互いに支え合いつつ,集落独自の生活・空間構成を形成 ,その仕組みの保有。(5)独自の再生技術により,絶えない集落再生の実行。(6)これらの集落の持続性の仕組みが,その伝承への下支えとして存在。等々が認められる。