2018 年 44 巻 p. 13-24
焼杉に関する研究を通し,以下のことを明らかにした。まず,インタビューおよび辞書調査により,特殊で特権的な技術として捉えていた焼杉が,安価でごくありふれた技術であった可能性を指摘した。また,滋賀県以西に分布するとした既往研究に対し,深層学習とGoogleストリートビューを用いることで,より詳細に地域分布を明らかにし,その要因を分析した。一方,耐久性能については,今回の実験では実証することができなかったが,その要因分析から「炭化層」の裏 にある「受熱層」に関する仮説を新たに構築した。さらに,焼杉の普及に向けた課題および解決策を整理し,今後の研究展開として,ファサードエンジニアリング研究の構想を描いた。