住総研研究論文集・実践研究報告集
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44 巻
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 遠田 敦, 富樫 英介, 永井 拓生, 中川 純
    2018 年 44 巻 p. 169-178
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     近年の建築環境は,人間の心理や生理反応,感覚,価値判断等も合わせて評価の対象にする方向にシフトしつつある。本研究では,人間の主体的な選択と行動の効果を基礎に置きながら,環境的にゆらぎのある建築空間の可能性を探ろうとするものである。このような検討を行うために必要となるものは,人間の個別性を評価可能な細やかな計測であり,また,これらの詳細な情報を活かすことのできる,柔らかな制御装置群である。そこで本研究では,人間の主体的快適性にもとづく建築計画を行う上で基礎となる,1)建築内部における環境行動計測装置,2)屋外における計測装置,3)計測値と設備を結びつける制御システム,の3つを開発し,その利用可能性について検討を行った。
  • 地域包括ケア時代の居住支援サービスに向けて
    鈴木 博志, 宮崎 幸恵
    2018 年 44 巻 p. 179-190
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
    サービス付き高齢者向け住宅は,2011年の制度発足以来6年が経過し,当初想定していた役割や意義が変化してきた。その背景には,高齢者向け住まいの絶対的な不足に起因するが,地域に固有の住宅・介護施設の事情があり,その実態や課題を解明することが求められている。本研究では,愛知県,岐阜県および都市化の進んだ東京都を対象に施設入居者に対してアンケート調査を実施し,入居者像や入居のきっかけや理由,住み替えの状況などを調査した。その結果として, 要介護者の居住が当初の想定以上に多いこと,入居の動機や理由が多様な中で,介護事情の悪さや子供の存在が寄与していること,入居施設の立地場所には子供の居住地近くなどの関係が強いことなどが明らかとなった。
  • 吉田 千春, 田中 友章, 横田 雅弘
    2018 年 44 巻 p. 191-202
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究では日本人学生と留学生が共に生活する混住寮を「学びの場」と捉え,空間と活動の観点から学習環境デザインを検討した。アジアの大学5校の先導的なレジデンシャル・カレッジ(以下,RC)と日本の先導的な 7 校の混住寮を対象に現地視察,ヒアリング,インタビューなどの調査を行った。その結果,空間の観点からは,居住単位のまとまりや集合形式,およびその階層性の相互関係が重要と示唆された。活動の観点からは,フォーマルとインフォーマルの活動を組み合わせ,活動への参加を促すレジデント・アシスタントが重要であることが分かった。さらに,今後は RC から得られた知見を活かし,大学教育の中に混住寮を位置づける必要がある。
  • 住まい手からみた住宅の価値と市場価値の乖離に着目して
    秋山 祐樹, 小川 芳樹
    2018 年 44 巻 p. 1-12
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は日本全国の家賃形成メカニズムの実態を明らかにするために,日本全国の住宅用途の建物1棟1棟の分布を収録したマイクロジオデータを整備した。またそれらに様々な家賃形成要素と最低保証家賃に関する情報を付与し,日本全国 の住宅の価値を評価出来るデータベースを構築した。さらに同データを集計化後にクラスタリングし,各クラスタに対して スパースモデリングを行うことで,クラスタ毎に最低保証家賃に対して正あるいは負に寄与する家賃形成要素を自動的に明らかにする技術が実現した。その結果, 地域によっては住宅の性能や災害リスクが考慮されておらず,住まい手にとっての住宅の価値と市場価値との間に乖離が確認された。
  • 性能評価と普及に向けたフィジビリティスタディ
    岡村 健太郎, 安井 昇, 加來 千紘, 腰原 幹雄, 今本 啓一, 大島 耕平
    2018 年 44 巻 p. 13-24
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     焼杉に関する研究を通し,以下のことを明らかにした。まず,インタビューおよび辞書調査により,特殊で特権的な技術として捉えていた焼杉が,安価でごくありふれた技術であった可能性を指摘した。また,滋賀県以西に分布するとした既往研究に対し,深層学習とGoogleストリートビューを用いることで,より詳細に地域分布を明らかにし,その要因を分析した。一方,耐久性能については,今回の実験では実証することができなかったが,その要因分析から「炭化層」の裏 にある「受熱層」に関する仮説を新たに構築した。さらに,焼杉の普及に向けた課題および解決策を整理し,今後の研究展開として,ファサードエンジニアリング研究の構想を描いた。
  • 居住弱者の住生活に着目して
    塩崎 賢明, 阪東 美智子, 川崎 直宏, 稲葉 剛, 見上 崇洋, 岡本 祥浩, 川田 菜穂子, 鈴木 浩
    2018 年 44 巻 p. 25-36
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は,2006年に制定された住生活基本法とそれにもとづく一連の住宅関係法制を「住生活基本法体制」とし,その到達点を明らかにすることを通して,人間らしい住まいと環境を享受できていない居住弱者の実態を明らかにし,居住弱者をなくし国民の住生活の向上を図るうえでの課題を導こうとした。住生活基本法と住宅セーフティネット法の法的性格を検討し,ホームレス,若者,被災者等の居住弱者の実態を明らかにし,居住貧困に対して住生活基本法体制及びそのもとにある住宅セーフティネット法とその改正の施策について評価を加えた。
  • 過去の災害復興プロセスから地域性の継承に着目して
    種橋 麻里, 筒井 健介, 西出 和彦
    2018 年 44 巻 p. 37-48
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は民間のリソースを活用した災害復興の実態を追うことで,災害復興の手法に関しての示唆を得ることを目的としている。伊豆大島は火山の噴火や台風などの災害が多い地域であるが,中でも最大の集落である元町地区では災害とその復興計画により都市空間と人々の暮らしが変質してきた。本研究では,まず伊豆大島の災害と土地の形成史などの歴史を把握する。その上で,1965年元町大火および2013年伊豆大島土砂災害を取り上げ,災害復興プロセスの中で人々がどのようにして住まいの場を移転してきたのか,またその際にどのように地域性を継承してきたのかという点について検証した。その上で,新町亭の活用を含めた元町地区の今後の復興のあり方について提言を行う。
  • 日本の空家・管理不全マンションを考える示唆
    寺尾 仁, 阿部 順子
    2018 年 44 巻 p. 49-60
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     今日のフランスでは民間住宅の荒廃が社会問題となり,対策が政策課題となっている。その対象には「不適切住宅」を 始め複数の近似した概念がある。住宅危機の原因は住宅管理の不足と把握され,近年の「不適切住宅」「品位のない住宅」から伝統的な「非衛生住宅」まで管理の不足のあり方を把握することを目的とした概念の設定・運用が行われている。これらの住宅の対策には公権力と民間を組み合せて,民間による住宅の問題の予防発見を容易にする制度から,「非衛生」認定のように行政による住宅の違法性の認定,臨時支配人のように是正の民間主導制度とそれを支える公的事業制度,破綻した住宅の公的除去制度までの体系が構築されている。
  • 家庭内事故の防止及び二次障害防止の視点から
    徳田 克己, 水野 智美, 西館 有沙, 西村 実穂
    2018 年 44 巻 p. 61-71
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     発達障がい児は衝動性の強さ,注意視野の狭さ,こだわりなどの特性があることから,日常のけがが多い。本研究では,発達障がい傾向のある子どもが家庭内,幼稚園や保育所の屋内のどのような場所で,どういった事故やけがを起こしているのかを明らかにした。その結果,発達障がい児には階段や家具などから転落する,家具等に頭をぶつけるケースが多かった。保護者や保育者は,階段に柵を設ける,窓に補助ロックをつけるなどの対策をしていた。多くの家庭では子どもが けがをしてから,対策を立てることで対策を終えていたが,保育者では絵カードなどの視覚支援を用いて子どもが危険な行為をしないように指導しているケースが多くみられた。
  • 那須 聖, 齊藤 哲也, 村田 涼, 金子 晋也
    2018 年 44 巻 p. 73-84
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は,住民による水環境に対する理解が生活環境へ表象されたものとして戸建て住宅の外構を捉え,外部の生活環境における自然と人工の混在した構築環境のあり方を考察したものである。第一に,現在の水環境に関する制度の分析から,事業,設計,活用の各主体の関わり方を考察し,住民の住宅外構との関わり方を明らかにした。第二に,温暖地と積 雪寒冷地の住宅地の現地調査を行い,両者を比較することで外構の構成要素とその特性を明らかにした。第三に,前二者の結果を踏まえてデザインワークショップを行い,住宅外構と水環境の関係についての解釈を行なった。以上を踏まえて,水環境に配慮した住宅外構の図式を明らかにした。
  • 復興計画の土台となる「住生活に配慮したリスク対応」の把握手法
    萩原 拓也, 田中 暁子
    2018 年 44 巻 p. 85-96
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は,リアス式海岸集落における災害対応を想定する枠組みの提示,地域の災害強度を高める復興計画や日常的環境整備に関する示唆を得ることを目的とする。研究方法は,まず,インタビュー調査・文献調査から東日本大震災以前の過去の津波災害時における災害対応を把握した。次に,インタビュー調査・文献調査から東日本大震災以前の地区内の物的環境・社会的環境を把握した。更に,地区住民に実施した東日本大震災時の避難行動実態調査を基に,地区内の物的環境や社会的環境が災害対応に寄与または阻害したかを分析した。 以上を通し,リアス式海岸集落における災害リスクの把握手法の提示,災害対応に寄与する環境整備の提示を行った。
  • 微量化学分析からのアプローチ
    船坂 邦弘, 古市 裕子, 酒井 護
    2018 年 44 巻 p. 97-107
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は,外気及び住宅室内に浮遊するエアロゾルの成分分析を実施することで,微小粒子状物質(PM25)を含む大気エアロゾルが外気から室内にどの程度侵入するのかを推定するものであり,より快適な空気環境の獲得に向けた対策提案に寄与することを目的としている。本研究と過去(1996-2004年度)に実施した調査結果との比較から,外気PM25濃度の経年的な減少に伴い,近年は室内のPM25濃度も減少していることが分かった。しかし,硫酸イオン(SO42-)や元素状炭素(EC)等は,外気からの侵入率が高いと考えられた。計画換気が導入された住宅では,給気口付近における外気エアロゾルの侵入対策を強化することで,室内への侵入が抑制されると期待される。
  • 災害復興住宅居住における東日本大震災被災者を対象として
    宮野 道雄, 生田 英輔, 萬羽 郁子
    2018 年 44 巻 p. 109-120
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,東日本大震災における災害復興住宅居住の被災者を対象として,生活環境が変化する中での外出行動や家事行動の調査および室内環境測定を行った。具体的には,対象群である災害復興住宅世帯への悉皆調査により,避難所,応急仮設住宅,災害復興住宅へと居住環境が変化する中での生活の質に関する評価を得た。その上で,調査対象者の中から同意を得た居住者に活動量計を用いた日常生活行動調査および住宅内外に温湿度計を設置することによる生活環境調査を実施した。得られた結果は,筆者らの既往研究による阪神・淡路大震災における生活復興過程での知見と比較することにより,東日本大震災被災者の今後の生活復興の指針となる。
  • 津波被災前の3Dデジタルモデルを用いた分析
    村上 暁信, 饗庭 伸, 池田 浩敬, 木村 周平, 熊倉 永子
    2018 年 44 巻 p. 121-131
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     本活動では岩手県大船渡市三陸町綾里地区を対象として,昭和三陸津波から継承された地域の経験が復興の進め方にどう影響したかを議論すること,暮らしの必要性・家族形態の変化・生業・仮設住宅等における災害後の暮らし・経済的制約・制度的制約・過去の住まいなどに注目し,文化人類学的な現地調査を実施することで,現在までに実現した復興の現状,東日本大震災被災前の住まいの特徴を分析すること,津波で失われたかつての集落景観を3Dデジタルモデルで再現し,それを基にして被災前の空間の使い方とその変容を分析することで,前記2点の議論を深めること,の3点に取り組んだ。
  • 森 太郎, 小澤 丈夫, 玉腰 暁子
    2018 年 44 巻 p. 133-144
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     Fuel Povertyは低所得世帯が陥る状況で,住居の質,特に断熱・気密性能が悪く,平均的な収入の人々よりも暖房用の燃料購入費が高くつくにもかかわらず,十分な燃料費を払うことができず,劣悪な室内環境で生活することにより健康問題に発展し,さらに貧困の固定化をもたらす恐れがあり,日本の将来を考えたとき,なんらかの支援が必要である。本研 究では,Fuel Poverty に関するイギリスの研究,政策の調査,北海道におけるアンケート調査,統計情報から北海道全域でのFuel Povertyの推定を行い,再びイギリスにおいて実施されている支援策を参考に,住み替えがFuel Poverty世帯の減少に与える効果を試算した。
  • 考試院の分布と考試村での生活パターンを中心として
    山中 新太郎, 重枝 豊, 全 映勳, 申 相永, 趙 在赫
    2018 年 44 巻 p. 145-156
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究では,韓国のソウル市に存在する考試院を対象に,考試院の密集地域における居住形態の特徴を把握する目的で,GIS(地理情報システム)を利用した調査,考試院密集地やその他のエリアに位置する考試院への訪問調査,考試受験雑誌に掲載された広告に関する文献調査,そして「考試村(コシチョン)」と呼ばれる地域の居住者を対象にアンケート調査を実施した。考試院はソウル市全域の広い範囲で分布しているものの,考試院の数が多い上位6つの地区では密集している場所が特定できる。その中でも考試院 が最も集積されている「考試村」では,考試院と地域施設が連携する仕組みで居住機能を分担しながら日常生活を支える新たな住まいの形態が見られた。
  • 計量経済学的手法を用いて
    鷲津 明由, 中野 諭, 平湯 直子
    2018 年 44 巻 p. 157-168
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究の目的は,社会統計を用いて,住宅の省エネ改修がもたらす社会的な影響を予測的に分析することである。第1に,全国消費実態調査による需要関数の推定結果を用いて,先進エネルギー機器導入を含む住宅の省エネ改修が,消費者 の満足度を向上させる効果を計測し,住宅の省エネ改修の費用便益分析を行った。第 2 に,地域間次世代エネルギーシステム分析用産業連関表を用いて,省エネ改修による光熱費削減が各地域の消費構造を変えることによりもたらす影響をマクロ的に分析した。第3に,社会生活基本調査を用いて,時間帯別節電ポテンシャルの推定を行い,先進的なエネルギーマネジメントシステム構築に資する情報提供を目指した。
  • 兵庫県播磨町の民間農住団地の空室を対象として
    佐伯 亮太, 藤田 武彦, 笹倉 みなみ, 中村 義弘
    2018 年 44 巻 p. 203-212
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     「団地の空室活用によるコミュニティづくりと団地再生の実践」1970 年代に建設された民間所有の5階建て階段室型団地(農住団地)の空室をシェアスペースに転用(DIY リノベーション)し活用することで,地域コミュニティづくり,団地住人の居住環境の改善,団地の入居率改善をねらった実践である。実践にあたっては,建物所有者,住人,外部協力者でのチームを立ち上げた。2017年10月現在,シェアスペースでは日常的に地域住民,団地住人が参加できるイベントが開催され,また団地の入居率も改善されるなど,一定の成果を見せている。本実践活動は,今後,急増することが予想される同様の建物の活用方法を模索するためのケーススタディである。
  • 神奈川県葉山町の別荘建築の継承を対象として
    津村 泰範, 尾谷 恒治, 藤森 照信, 野沢 正光, 木下 壽子, 吉見 千晶
    2018 年 44 巻 p. 213-222
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     「近代住宅遺産の継承を条例制定によって円滑に」特定行政庁でない神奈川県葉山町において「その他条例」を策定するための課題を明らかにするため,神奈川県下における「その他条例」の策定状況を比較検討した。その結果,「その他条例」の多様性と条例策定過程における県との調整の困難性等が確認された。本報告は,このような調査結果を踏まえて,葉山町の近代住宅遺産を形づくる別荘建築群に着目し,これを保存継承するための仕組みとして具体的な「その他条例」案を提案することした。
  • 人口激減と居住概念の変化に対応する新マネジメント方法の構築
    黒本 剛史, 川田 さくら, 太田 慈乃, 益邑 明伸, 窪田 亜矢
    2018 年 44 巻 p. 223-232
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
    「居住者ゼロからの「空き」活用をふまえて,まちなかの本質を考える」  原発と津波の複合被災によって居住者がゼロになった福 島県南相馬市小高区においては,帰還の見通しが立ちにくい時期が長く,大量の空きストックが生じた。しかし,避難指示解除となった現在に至るまでの間には,被災前とは異なる形態で,空き家や空き地を利活用する多様な取り組みが生じている。被災者自身による住民らの交流の場づくりや地域のニーズを把握した外部支援者らの利活用などであるが,警戒区域指定の変更や準備宿泊開始などの時期に応じて,まちなかの様相は変化していき,次の利活用へと変化するケースもあった。いずれの段階においても,不動産所有者と利活用の担い手をつなぐチャネルや柔軟な資金が重要となる。
  • 小林 茂雄, 角舘 政英
    2018 年 44 巻 p. 233-241
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/31
    ジャーナル オープンアクセス
     「気仙沼らしい風景の継承が夜の安全に結びつくことを証明」本プロジェクトは,甚大な津波被害を受けた気仙沼において,沿岸部の独特の風景を夜間にも感じ取るようにすることと,夜間に災害が発生した際に速やかに避難できるような光環境を整えることを同時に提案するものである。湾に張り出した五十鈴神社などの沿岸地域を対象に約1か月間の仮設的な照明設備を取り付けた。実践の結果,気仙沼らしい景観の形成と高台への避難路の認識は両立できることが示された。再整備によって元の風景が失われようとしている街において,実践成果を反映した光環境を構築できるように働きかけを行っている。
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