2018 年 44 巻 p. 37-48
本研究は民間のリソースを活用した災害復興の実態を追うことで,災害復興の手法に関しての示唆を得ることを目的としている。伊豆大島は火山の噴火や台風などの災害が多い地域であるが,中でも最大の集落である元町地区では災害とその復興計画により都市空間と人々の暮らしが変質してきた。本研究では,まず伊豆大島の災害と土地の形成史などの歴史を把握する。その上で,1965年元町大火および2013年伊豆大島土砂災害を取り上げ,災害復興プロセスの中で人々がどのようにして住まいの場を移転してきたのか,またその際にどのように地域性を継承してきたのかという点について検証した。その上で,新町亭の活用を含めた元町地区の今後の復興のあり方について提言を行う。