本研究では,瀬戸内海の男木島を対象に,夏と冬の卓越風向に対し,簡易風速計を用い多点計測し,路地内の風速分布を面的に低コストで把握とともに,島全体を対象にしたCFD 解析を行った。集落の路地の多くは,周辺の外壁や石垣の高さよりも道幅が狭い路地で構成され,路地空間が風上建物後方の弱風域に入り,弱風域が主流方向に連続することで,集落全体の風速が小さくなっていた。海岸線に直交する路地についても,蛇行することで,風の侵入を防いでいることがわかった。路地内の弱風域は,屋根の包絡線の高さまで形成されており,包絡線は概ね地表面と平行になっていた。更に,平均風速の超過確率の空間分布を求め,通年で,路地空間の強風による非適風範囲となる頻度が小さいことを明らかにした。