本研究は,伝統・在来建築の建設持続可能性に関して,資源管理による建材入手可能性の観点のみならず,土地利用や労働形態,食料事情などの生活様式を考慮することで,より包摂的な観点から評価する手法を新たに提案する。また,提案した手法を用いて,バヌアツ共和国タンナ島ラウナウラ村を対象に,伝統建築ニマラタン及び草木を用いた在来建築ニマイトゥンガの建設持続可能性を評価する。本手法を用いて評価した結果によれば,人口増加が見込まれる状況では,内生的資源に依拠した生活様式では長期的な持続可能性の確保は難しい一方,村外での雇用による労働の割合を上げることで,森林資源の保全が一定程度可能であることが明らかになった。