本研究は,地震が多発し雨の多い日本においては珍しい,土を積んだ壁を有する建築に着目して,現地調査,材料実験および環境測定を行ったものである。現地調査の結果,小屋の構成について,構造形式や軸組部分との関係から分類を行い,用途や分布地域,および土積み壁部分の構成との関係を確認した。土積み壁から採取したサンプルを対象とした材料実験では,建物の鉛直荷重を支える強度があり,土だけで積む場合より,同時に石も積む場合の方が細粒の土を用いる傾向が確認できた。環境測定では,土積み壁を持つ建物は,外気温と比べて温湿度が安定しており,土の持つ蓄熱性と調湿性による効果が確認できた。