本研究は栃木県益子町において陶器制作を行う個人経営の6窯元を対象に,敷地内に分散配置された作業場と住居の空間連携に着目し,建物と制作工程の関係から,伝統工芸産地の集落的環境における職住空間の特性を明らかにするものである。検討においては,まず,制作に関わる作業場を対象とした土間と軒下空間における工程と設いに着目した建物と建物部位の構成分析から性格を位置付け,次に,作業場と住居を含む建物を対象とした建物の境界面の構成及び境界面間の関係の分析から敷地全体に形成されるネットワークを位置付けている。さらに,それらを統合することで,各窯元の空間的な特徴を明らかにしている。