2006 年 37 巻 4 号 p. 85-88
9ヵ月齢、体重3.2 kg、雄のチワワが2日にわたる間欠的な嘔吐を訴えて来院した。腹部レントゲン検査ではボタン電池と思われる腸内異物が認められた。2日間の対症療法に反応することなく状態が悪化し、開腹手術を実施した。小腸と大腸を巻き込む大きな癒着病巣がみられ、回腸にボタン電池が確認された。電池表面に接していた腸壁は穿孔していた。癒着剥離中に前腸間膜動脈が破綻し、結紮した。それによって血行障害がみられた小腸を広範に切除した。患者の体重は徐々に減少し、初診から158日後に死亡した。