獣医麻酔外科学雑誌
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原著
鼻腔内腫瘍の犬11症例におけるオルソボルテージを用いた化学放射線療法の予後
柳瀬 沙和子森 崇星野 有希伊藤 祐典村上 麻美西谷 由莉野口 俊助酒井 洋樹柳井 徳磨丸尾 幸嗣
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2012 年 43 巻 3+4 号 p. 41-45

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抄録
オルソボルテージ放射線およびドキソルビシンとカルボプラチンによる化学放射線療法を行った鼻腔内悪性腫瘍の犬11例について回顧的研究を実施した。オルソボルテージ放射線は1回6.3 Gy、週1回照射とした。照射回数中央値は6回(4~11回)、照射総線量中央値は37.8 Gy(25.2~69.3 Gy)であった。臨床症状改善は9例で得られた。治療前後に行ったCT撮影により、8例で腫瘍縮小が認められ、完全寛解2例、部分寛解6例であった。生存期間中央値は478日(99~969日)であった。放射線障害は7例で認められたが、多くは軽度であり、対症療法により改善した。以上より、犬の鼻腔内悪性腫瘍に対し、オルソボルテージ放射線を用いた化学放射線療法は、QOLを低下することなく治療効果及び延命効果が得られ、治療の選択肢のひとつとなることが期待できる。
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© 2012 獣医麻酔外科学会
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