抄録
肝臓腫瘍の犬7頭に摘出手術を行った。これらの症例の臨床症状は体重減少 (全例) , 食欲不振 (6例) , 下痢 (4例) 等であり, また全例で腹部に腫瘤塊が触知された。術中所見では7例とも腫瘍と周囲組織との癒着がみられ, 大網と腸管は全例で癒着していた。これらのうち5頭は緩和的な減容積手術として肝葉切除術を実施したが, 1頭は多発性結節病変のため手術適応外であり, 1頭は後大静脈, 後腹膜との強固な癒着のため摘出不可能と判断し, 飼い主の承諾を得て術中安楽死とした。肝葉切除術を実施した5頭は良好な回復を示し, うち3頭は1年7ヵ月以上の生存がみられた。