抄録
臨床症状, X線およびCT検査所見から上腕骨離断性骨軟骨炎と診断した大型犬3例に対し, 腱切開や筋切開のない低侵襲の関節切開により離断骨軟骨片の摘出を行った。肘関節の遠位上腕骨内側上穎にOCDを生じた2例では内側からアプローチし, 離断片を除去した。翌日までに術後速やかな患肢の使用が見られたことから, 外科手術の有用性が示された。肩関節に発症した例では, 外側からアプローチし, 直径約5mmの軟骨片を除去した。手術時間は77分と短時間であったが, 患肢の正常な使用には1ヵ月を要したことから, 軟骨欠損部が大きい場合には, 軟骨の移植など補填による荷重対抗の処置が望ましいと考えられた。