2019 年 3 巻 2 号 p. 23-28
猫の左室流出路のカラードプラによるモザイク所見は、肥大型心筋症に由来する左室流出路障害ならびに僧帽弁弁尖、腱索および乳頭筋の変形や肥大などが原因とされる。その一つに僧帽弁前尖の僧帽弁収縮期前方運動 (SAM) による左室流出路の動的障害があるが、SAM の発生機序は明確にされていない。今回、初診時の左室拡張末期の心筋壁は6 mm 以下で心筋肥厚は認められなかったが、左室流出路にモザイク所見を認め、その後第299 病日以降には乳頭筋肥大の顕在化そして第359 病日には心筋肥大を認めた猫に遭遇したので、その推移および経過の概要を報告する。