日本獣医がん学会雑誌
Online ISSN : 1884-3352
Print ISSN : 1884-3344
ISSN-L : 1884-3344
原著
肺指症候群の猫5例の臨床所見
杉山 大樹圓尾 拓也信田 卓男石川 剛司金久保 佳代斑目 広郎茅沼 秀樹菅沼 常徳
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 1 巻 1 号 p. 8-13

詳細
抄録

肺指症候群と考えられた猫5例の臨床所見について検討を行った。肺原発巣に伴う呼吸器徴候は5例中1例のみで見られ、ほかの4例では呼吸器症状は全くみられなかった。播種転移部位は、主に、指、体表部筋肉、皮膚であった。5例の中央生存期間は60日(12~125)であり、呼吸器徴候を伴い死亡したものは1例のみであった。これらの臨床所見から、本病態における治療として、肺葉切除は意義が低いことが示唆された。また、転移病変は全身に存在することから、断指をはじめとする外科的治療は残存する指や肢の負重増加により動物の生活の質をさらに低下させる可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2010 日本獣医がん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top