抄録
本研究の目的は,国内91戸の一貫経営農場における繁殖成績指標と肥育成績指標の記述統計を示すこと,肥育成績指標間の相関関係,繁殖成績指標と肥育成績指標間の相関関係を調べることである。相関関係は,偏相関を用いて分析し,繁殖雌豚在庫頭数変化割合と出荷時体重を制御変数として用いた。繁殖成績指標において,哺乳中死亡割合と補正21日齢離乳子豚体重の平均はそれぞれ11.3±0.36%,6.2±0.05kgであった。肥育成績指標において,出荷までの日数と1日あたり増体量および肥育豚死亡割合の平均はそれぞれ,168.7±1.46日,0.65±0.01kg, 5.0±0.25%であった。肥育成績指標において,1日あたり増体量は肥育豚死亡割合と出荷までの日数と負の相関があった(P<0.05)。哺乳中死亡割合は,肥育豚死亡割合と正の,1日あたり増体量とは負の相関があった(P<0.05)。補正21日齢離乳子豚体重は,肥育豚死亡割合と負の,1日あたり増体量と正の相関があった(P<0.05)。年間種付け雌豚当たり離乳子豚数は,1日あたり増体量と出荷までの日数と相関があった(P<0.05)。繁殖雌豚死亡割合は肥育豚死亡割合と相関がなかった。結果として,一貫経営農場において繁殖成績は肥育成績と関係していることが示唆された。さらに,補正21日齢離乳子豚体重と哺乳中死亡割合は,繁殖成績と肥育成績を結び付けている重要な指標であることが示唆された。