獣医疫学雑誌
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原著
高・中・低生産性農場における四つに細分化した母豚の生涯非生産日数と生涯繁殖成績との関連性
佐々木 羊介竹村 洋祐纐纈 雄三
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2012 年 16 巻 2 号 p. 135-141

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抄録
本研究の目的は,四つに細分化した母豚の生涯非生産日数(NPD)とその日数割合を農場生産性グループ間で比較することとした。本研究では,101農場における44,720頭の雌豚における生涯記録を用いた。生涯NPDは,出生後初交配から受胎までの日数(FMCI),生涯における離乳後初回交配日数(WMI),生涯における初回交配から受胎までの日数(MCI),淘汰産次における離乳から淘汰までの日数(WCI)の四つに細分化した。農場は,年間種付け雌豚当たり離乳子豚数の上位と下位25%で,高生産性農場,中生産性農場および低生産性農場に分類した。生涯NPDの平均(±SEM) は87.4±0.31日であった。FMCI,生涯WMI,生涯MCIおよびWCIの平均日数は,それぞれ5.8±0.10日,27.4±0.11日,14.9±0.16日および39.3±0.23日であり,日数割合はそれぞれ6.6%, 31.4%, 17.0%および45.0%であった。農場生産性グループ間で生涯生存日数に差は見られなかったが,高生産性農場は生涯NPDおよび細分化した四つのNPDが低生産性農場よりも短かった(P<0.05)。高生産性農場では,低生産性農場よりもFMCI,生涯MCIおよびWCIの日数割合が1.9%から5.4%低かった(P<0.05)。母豚の生涯繁殖効率を改善するために,各々のNPDの日数を減らすことが重要である。また,WCIは生涯NPDの中で最も大きな割合を占めているため,この日数をコントロールすることは重要である。
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© 2012 獣医疫学会
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