2023 年 27 巻 2 号 p. 108-117
動物介在介入(animal-assisted intervention: AAI)は医療,介護,教育等の分野で応用され人に癒しを与えてきた。またAAIは動物に役割を与え,人と動物双方の生活を豊かにする。しかしながら,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの発生により世界的にAAIは中止された。日本でもCOVID-19の影響でAAI実施体制の維持が困難となっていることが予想される。本研究は,AAI実施者,利用者,高齢者介護施設へのCOVID-19の影響を調査することを目的として実施された。
分析焦点者をCOVID-19パンデミック発生前から高齢者介護施設でAAI活動に携わってきた人とし,北海道在住の4名のAAI実施者と高齢者介護施設職員2名(うち1名はAAI実施者)の合計5名の調査協力者を対象として,COVID-19発生前,発生拡大時,発生から2年後における状況について2022年2月から6月に掛けてインタビューを実施した。AAI実施者のうち1名はオンラインで,その他は対面でインタビューを行った。インタビューに要した時間は一人当たり30から50分で,インタビューデータは逐語化し修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて質的に分析した。具体的には,データから概念を作成し,複数の概念からカテゴリーを生成した。最後に,カテゴリー間の関係性を考慮しながら結果図およびストーリーラインを作成した。
COVID-19発生前は,AAIはAAI実施者,利用者,高齢者介護施設の全てに好ましい影響をもたらしていた。AAIは2020年から休止されていた。COVID-10パンデミックにより高齢者介護施設利用者に顕著な福祉の低下が起きたが,COVID-19発生から2年後には状況が改善されていた。AAI実施者と高齢者介護施設職員の双方が活動再開を希望し,広場に集まるのではなく個室を訪問する方法で接触機会を減らした活動の再開方法を計画していた。活動再開には,全ての犬がAAIの資格を喪失しており適性試験を再受験しなければならないこと,ボランティアのAAI実施者を再度募集しなければならない課題があることが特定された。実施体制の再構築には時間が掛かることが予想される。