日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
Print ISSN : 0446-6454
ISSN-L : 0446-6454
日本小動物獣医学会会誌
活性化リンパ球療法を実施した腫瘍罹患犬10例
星野 有希高木 哲大崎 智弘奥村 正裕藤永 徹
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 62 巻 5 号 p. 383-387

詳細
抄録

悪性腫瘍罹患犬10症例に対して活性化リンパ球療法を実施した.症例犬より採取した末梢血単核球を抗CD3抗体およびヒトリコンビナントIL-2を用いて14日間培養後,ヒトリコンビナントIFN-αを感作した細胞を活性化リンパ球とし,当該症例に複数回投与した.その結果,すべての症例で末梢血単核球細胞の構成細胞比が変化し,うち2症例で血清IFN-γ濃度の上昇が認められた.また活性化リンパ球の投与による副作用は認められず,症例の生活の質を十分維持することが可能であった.以上のことから,本治療法は腫瘍の発症およびその治療により生活の質が低下しがちな犬に対しても免疫応答を活性化することが可能であり,腫瘍の成長および転移に対する免疫学的防御能を活性化させる治療法として十分適用可能であると考えられた.

著者関連情報
© 2009 公益社団法人 日本獣医師会
前の記事 次の記事
feedback
Top