2009 年 62 巻 7 号 p. 538-541
黒毛和種繁殖雌牛の低栄養飼料が出生子牛の血液性状と免疫細胞に及ぼす影響を調査した. 分娩前後の母牛の給与飼料が要求量を充足しない低栄養飼養群(低栄養群)と要求量を満たす充足栄養飼養群(適栄養群)の2群について,母牛と出生子牛の血液生化学的性状,および出生子牛の末梢血白血球ポピュレーション解析を実施した. その結果,低栄養群母牛のGlu,TCho,Alb,TP は適栄養群に比べ有意に低く(P <0.05),BUN,FFA は有意に高かった(P <0.05). 出生子牛では低栄養群のGlu は適栄養群に比べ有意に低かった(P <0.05). 末梢血白血球ポピュレーション解析では,低栄養群のCD4+T 細胞数,CD8+T細胞数はともに低値で,CD4+/CD8+比は適栄養群に比べて有意に低く(P <0.05),T リンパ球機能の低下が推察された. 以上より,分娩前後の母牛の低栄養は出生子牛の免疫能に影響を及ぼすことが示唆された.