抄録
2008年9月,2カ月齢の子牛が起立不能となった例を初発に,翌年5月まで,7市3町19戸20例でアカバネ病が発生した.2008年7~11月生まれの8例は,運動失調や麻痺を主徴とし,非化膿性脳脊髄炎を認めた(前期).12月生まれの3例は,関節拘縮症を主徴とし,脊髄腹角神経細胞の減数,骨格筋の矮小化を認めた(中期).2009年1月生まれの1例は,虚弱を主徴としたが,病変は無かった.3 ~4月生まれの8例は,盲目を主徴とし,水無脳症を認めた(後期).免疫染色では前期の全例(5/5)で,中枢神経系組織にアカバネウイルス(AKAV)抗原が検出された.Simbu 血清群検出RT-PCRは,中期まで陽性であった.AKAV特異的nested RT-PCRによる増幅産物の塩基配列を用いた系統樹解析では,AKAV Okayama2004株と近縁で,genogroup ⅡAKAVに属した.これより,genogroup ⅡAKAVでも異常産に先立ち,子牛の脳脊髄炎の原因となることが明らかになった.