2012 年 65 巻 8 号 p. 597-600
馬6頭を14日間の休薬期間で繰り返し用いて非ステロイド系抗炎症薬のフェニルブタゾン(4.4mg/kg),シクロオキシゲナーゼ-2選択阻害薬のフィロコキシブ(5mg/kg),フェニルブタゾン(4.4mg/kg)とプロトンポンプ阻害薬のオメプラゾール(1mg/kg)及び生理食塩水(20ml)を1日1回7日間経口投与する4回の薬物投与実験を実施し,胃内視鏡を用いて胃粘膜への影響を評価した.フェニルブタゾン投与では,ヒダ状縁の無腺部領域に胃潰瘍病変が観察された.一方,その他の薬物投与では,顕著な胃潰瘍形成は観察されなかった.以上のことから,馬において,フィロコキシブは胃潰瘍発生の危険性が少ない薬物であり,オメプラゾールはフェニルブタゾン誘発性胃潰瘍の予防効果を有することが示唆された.