日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
水頭症に起因する抗利尿ホルモン不適合分泌症候群が疑われた犬の1例
亀島 聡大寺 貴子神前 卓司
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2013 年 66 巻 12 号 p. 870-873

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抄録

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(Syndrome of inappropriate antidiuretic hormone secretion,以下SIADH)は,頭蓋内疾患などの基礎疾患に続発し,抗利尿ホルモンの不適合分泌が起こり,低ナトリウム(Na)血症,血漿浸透圧の低下,尿中Na排出量の増加などを生じる小動物領域ではきわめてまれな病態である.今回,ドーム様の頭蓋形状と特有の症状を呈したトイ・プードルに遭遇し,その病態を精査した.その結果,本症例では,顕著な低ナトリウム血症や血漿浸透圧の低下をはじめ,種々の検査成績がSIADHの診断基準をほぼ満たしていると考えられた.また,特有の頭蓋形状はMRI検査で,水頭症によることが判明した.以上の所見より,本症例は水頭症に起因するSIADHであることが強く示唆された.

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