2013 年 66 巻 4 号 p. 253-256
4歳,避妊手術済雌のフェレットが3日間の食欲低下を主訴に来院し,身体検査及びX線像により左腎領域に巨大な腫瘤を認めたため開腹手術を行った.周囲組織と重度癒着した腫瘤が腹腔内を占拠し,左腎が腫瘤内に埋没していたため,左腎の合併切除により腫瘤を摘出した.術中に左側副腎は見られなかった.病理組織学的に,表皮・皮膚付属器様組織,骨・軟骨様組織,神経様組織,腸上皮様組織及び眼杯様構造など成熟した多彩な組織が混在し,奇形腫と診断した.腫瘍組織内に副腎組織は認められなかった.本腫瘍の発生母地は明確にできなかった.術中に左側副腎を確認できなかったことから,左側副腎由来であったと推測された.