日本獣医師会雑誌
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
牛第一胃液のpHと揮発性脂肪酸濃度に及ぼす重曹含有食塩ブロック剤舐食給与の影響
一條 俊浩長濱 克徳大久保 成生田 健太郎岡田 啓司佐藤 繁
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2014 年 67 巻 11 号 p. 844-849

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抄録

重曹含有食塩ブロック剤の舐食給与が濃厚飼料多給牛の第一胃液pH及び揮発性脂肪酸(VFA)濃度に及ぼす影響を検討した.第一胃フィステルを装着した5カ月齢ホルスタイン種去勢牛(4頭)に試験前1週から第一胃アシドーシス誘発飼料を給与し,本ブロック剤を舐食給与(舐食群)あるいは朝夕の給餌直後に舐食群と同量の重曹粉末を経口給与(経口群)した.その結果,第一胃液pHの1日平均値は,舐食群で経口群に比べて高値で推移し,給与開始日から3日後まで有意(P<0.05)な高値を示した.第一胃液VFAとアンモニア態窒素は,群間に差異がみられなかった.このことから,濃厚飼料多給牛に対する重曹含有食塩ブロック剤の舐食給与は,第一胃液pHの低下を軽減する作用のあることが明らかになった.作用機序として本ブロック剤舐食による重曹のpH緩衝作用と食塩の唾液分泌促進が推察された.

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