日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
分子生物学的手法を用いStreptococcus canisによる感染性心内膜炎と診断した犬の1症例
田川 道人大橋 英二本村 絹代千葉 史織堀内 雅之三好 雅史猪熊 壽松本 高太郎
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キーワード: 心内膜炎, PCR, Streptococcus canis
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2015 年 68 巻 11 号 p. 703-707

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抄録

10歳の雄の雑種犬が,3週間前から持続する発熱及び元気消失を主訴に帯広畜産大学動物医療センターを受診した.心雑音及び心エコー検査において僧帽弁の疣贅物が確認され,抗生物質等により加療したが,第7病日より心不全の悪化を認め,第10病日に肺水腫により斃死した.病理解剖では,軽度の心拡大及び僧帽弁における多中心性疣贅物が認められた.血液培養検査では,Staphylococcus haemolyticusが検出されたが,疣贅物を用いたPCR検査ではStreptococcus canisと100%一致する塩基配列が得られた.血液培養分離菌はコンタミネーションであった可能性が高く,本症例の心内膜炎はStreptococcus canisによるものと考えられた.血液培養結果と実際の心内膜炎起因菌が異なる場合があることを考慮する必要がある.

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