2015 年 68 巻 7 号 p. 441-446
2009~2012年に大阪府立大学獣医臨床センターで,高エネルギーX線による放射線治療を行った鼻腔内腫瘍の犬24例について回顧的調査を行った.4MVのX線を用い,1回線量5.0~5.9 Gy,週1.9~3.3回,照射回数7~8回,総線量35.0~47.2 Gyの治療(TDF値87~120)を実施した症例について検討を行った.併用治療を行った症例を含む全例の生存期間中央値は260日で,篩板構造が維持されている症例では生存期間が有意に長かった.照射前の外科手術や対症療法により症状が改善していた症例を除く19例中15例(79%)で改善がみられ,確認した放射線障害は軽度であった.これらの結果はTDF値を基に立案する治療計画の有効性を示唆しており,治療計画に制限のある症例に対し,有効な選択肢となりえる.