2016 年 69 巻 12 号 p. 731-736
2005年に,滋賀県内の肉牛飼養農場で飼養されていた37〜40日齢の子牛3例が急性経過で死亡した.いずれの症例も,空腸の腸間膜リンパ節に,高度な腫大が認められた.病理組織学的検査では,小腸粘膜及び大腸粘膜の化膿性病変が特徴的であった.免疫組織化学的検査では,回腸や結腸陰窩膿瘍からMannheimia(M.)varigena抗原が検出された.細菌学的検査では,腸内容からMannheimia属菌が分離され,16S rRNAの塩基配列解析により,M. varigenaと同定された株及びMannheimia属菌5亜種に相同性を示さない株であった.また,E. coli,Clostridium perfringens,コロナウイルス及びコクシジウムがあわせて認められた.本症例はM. varigena及びMannheimia属菌が関与する腸炎であり,宿主の免疫状態及び腸炎を起こす他の病原体の存在が腸炎の重篤化につながるものと考えられた.