日本獣医師会雑誌
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
豚流行性下痢の免疫組織化学的診断における回腸下部の重要性と必要な検査頭数
阿部 祥次飯塚 綾子藤田 慶一郎濱谷 景祐播谷 亮川嶌 健司
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2016 年 69 巻 3 号 p. 138-142

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抄録

本研究の目的は,豚流行性下痢(PED)の免疫組織化学的染色(IHC)で最も診断的価値が高い腸管の部位とPEDの検出に必要な頭数を調べ,IHCによる診断の特異性と有効性を改善することである.PEDを発症した18農場の56頭を調べた.腸管の各部位についてPEDウイルスに対するIHCを行い,農場ごと及び腸管部位ごとの陽性率を調べた.さらに小腸における絨毛と陰窩の長さの比(絨毛の萎縮比率)とIHCの陽性面積を計測した.陽性豚の割合は,1農場が33%(1/3頭)でほかの農場はすべて60%(3/5頭)以上であった.回腸下部はIHC陽性率が100%であり,最も高値であった.絨毛の萎縮比率は材料間に差はなく,陽性面積は回腸が空腸より有意に高かった(P<0.05).以上のことから,発症豚3頭の回腸下部についてIHCを実施することで,PEDの正確かつ効率的な診断ができると考えられた.

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© 2016 公益社団法人 日本獣医師会
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